活動紹介

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第1回DT(気ばらし療法)研修「痴呆性高齢者にとってその人らしい人生とは」

2003年12月16日(火) 場所:青山環境デザイン研究所


相根氏の講演会2回目です。人にやさしい住まいと住まいを取りまく環境づくりについて、具体的にお話していただきました。相根氏が開発に携わった自然建材とその素材を活かす施工や構造、環境と調和して暮らすエコ集合住宅・エコビレッジについてなど、話題は広がりました。



当日のプログラム

特別講演

「エコロジー住宅で暮らそう。」
講師:相根昭典氏
(株)アンビエックス代表取締役 一級建築士
※主な著書「健康な住まいを手に入れる」(コモンズ)


主な内容

・ガイドラインと行政や業界の動向
・自然素材で創る住宅の設計方法
・消費社会から生活者主導型社会へ
・エコハウス、エコヴィレッジ・プロジェクトの事例

特別講演

「エコロジー住宅で暮らそう。~エコロジーハウスの住宅と設計~2」
相根 昭典氏


 私の設計事務所では、有害物質を含まない安全な家づくりとともに、安心して暮らせる生活環境づくりを提案しています。住まいを取り巻く環境が健康になってはじめて、本当に体にやさしい健康的な住まいが得られると考えるからです。

 安全な家づくりには、有害化学物質をいっさい含まない自然建材が必要です。設計事務所を立ち上げた当初は、建材を大手建材メーカーから買っていたのですが、有害化学物質ゼロの必要性をメーカーに理解してもらうことは難しく、クレーム等が相次ぎ、フォローに追われました。そこで、全国各地の建材メーカーの協力を得て、有害化学物質を一切含まない自然建材の開発に取り組みました。

 岐阜県の建材メーカーとは、小麦やタピオカなどから取れる100%天然のでんぷん糊を用いた接着剤を開発しました。廃棄物として扱われていた貝殻を粉末にしたものと珪藻土をブレンドして壁材を作りました。材料である貝殻には、脱臭や、ホルムアルデビドなどの有害化学物質を分解する力があり、防カビ効果もあります。また、畳表には熊本県の業者が有機農法で栽培したイ草を使っています。

 次に、こうした自然素材の力を妨げないように、家の構造や素材の加工にも工夫を重ねました。自然建材は、建材に合わせた施工や工法がセットになっていなければ、快適な住まいにはなりません。自然建材は湿気を含みやすいため、すぐにダニやカビが発生してしまうからです。そこで、壁や床下に通気層を設けて湿度を調整したり、抗菌作用のある檜の天然成分を抽出して防腐剤にするなどの工夫をしました。仕上げ材には、燻煙乾燥させた無垢材など、調湿機能がある建材を使います。

 ところで、化学薬品をいっさい使用していなくても、特定の自然建材の臭いで体調を崩す人がいます。いくら安全でも、人によっては使えない素材もあるわけですからどんな素材を使って家を作るのか、その素材にはどんな成分が含まれているのかを、明らかにする必要があります。そこで、自然建材開発に関わった業者15社の協力を得て「素材工房」という会社を設立し、材料や成分はもちろん、建材の製造過程も明確にできるようにしました。住む人が納得・安心できる家づくりのためには、そこまでする必要があると思います。

 現在は、環境と調和して健康的に暮らせる住まいづくりを提案し、エコビレッジというエコ集合住宅の設計に取り組んでいます。エコビレッジでは風力やソーラー発電を利用したり、無農薬野菜の家庭菜園を設けるなど、できる限り自然とともに暮らせる住まいを目指しています。家と自然が調和してはじめて、本当に安全な住まいが作られるからです。

 こうしたエコビレッジの取り組みから考えたのですが、住宅建材に限らず、衣服や食材、生活雑貨なども、体にやさしい自然素材だけを使ったものなら、欲しいという人は必ずいます。商品としての需要があるはずですから、体にやさしいものだけを扱うエコマーケットがビジネスとして成り立つのではないかと思うのです。誰にとっても安心な素材、家、環境を作っていくために、今後も研究と開発を重ねていきたいと思います。



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