活動紹介

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第3回 特別講演&シンポジウム「地方高齢者の生活支援と気ばらし療法(DT)の役割」

2003年6月7日(土) 場所:新宿NSビル


さる6月7日、新宿NSビルにおいて、「第2回特別講演と福祉住環境コーディネーターの活動事例発表」を開催しました。特別講演として溝口千恵子氏((株)高齢者住環境研究所 代表取締役所長)を、また事例発表会では、福祉住環境整備の現場で活躍されている4名を発表者としてお迎えし、80余名の参加者が集いました。



当日のプログラム

特別講演

「高齢者の住宅改修と業界の課題」
講師:溝口千恵子
(株)高齢者住環境研究所 代表取締役所長


活動事例発表

「福祉住環境コーディネーターの役割」

「会社を設立するまでの経緯」
発表者:勝田由美子/(有)ワイズウィール 代表取締役

「住宅メーカー営業マンからの転身」
発表者:鶴岡 健/有限会社ATネット 営業企画部

「在宅介護と住宅改修の現場から」
発表者:関 典子/世田谷区保健センター総合福祉センター 相談訓練課 介護保険リハビリ係

「新天地での住宅改修・福祉用具事業の立ち上げ」
発表者:畠山正広/高住研・キヨタ(株)横浜店勤務

[コメンテーター]
溝口千恵子 (株)高齢者住環境研究所 代表取締役所長

[コーディネーター]
渡邉 光子 NPO法人 福祉・住環境人材開発センター理事長

特別講演

「高齢者の住宅改修と業界の課題」溝口千恵子/(株)高齢者住環境研究所 所長

平成12年に介護保険がスタートした当初は、要介護高齢者と住環境整備の必要性がなかなか結びついていませんでした。それが3年たった現在は様変わりしてきています。まずは、利用者の方々の意識です。高齢者と接している家族は日々、住環境整備の必要性を感じ、福祉住環境整備を強く望んでいます。70、80代の方というよりもその世代を支える40、50代の世代が強い意識をお持ちになっているというのが私の認識です。ただ、現状ではまだ、そういう意識の受け皿が十分には整っていません。このような現状のなかで、福祉住環境コーディネーターは、どのような活動をしなければならないのでしょうか。

介護保険の制度のなかには、住宅改修費の支給、福祉用具の購入、福祉用具の貸与というサービス項目があります。問題点のひとつとして、そのサービス項目だけを満足させる、あるいはそれを遂行することに意味があると考えられがちだ、ということがあります。福祉住環境整備というのは、もっと大きな視点からとらえなくてはならないでしょう。福祉住環境整備は住宅改修をするだけ、福祉用具を導入するだけですむものではありません。最初にしなければならないのは、住まい方をチェックすること、生活動線に無理はないのか、持ち物がありすぎて、移動しにくい、危険、介助しづらいとかあるかもしれません。そういう視点がまず、最初に抜けているのでは、と感じます。

改修業者は工事に意義があると思っている方が多く、工事をしたがる傾向にありますが、「まず、住宅改修ではなく、福祉住環境整備」という視点を皆さんに持っていただきたいと切に願います。そういう視点からみると工事をしなくても、部屋を変えてみる、家具を有効利用する、福祉用具を活用するということで要求が満たされることもあるのです。それから住宅改修、そういったステップを踏んでいくのが利用者にとっても望ましいことなのです。そういう大きな視点がないなかで、ばらばらに福祉用具の導入と住宅改修が行われると、無駄が生じる可能性が高くなり、利用者にとっても問題解決に結びつかないこともあります。

もうひとつの大きな問題は、介護保険の利用が、まず人的な支援から、となりがちなことです。元来、自立支援を目的とした制度なのに、非常に疑問に思います。私はまず住環境整備が最初で、どうしても不足するところは人的介護で補うという流れが、本来の流れではないかと思うのです。自立支援が目的なのに最初から人的介護に頼っていては、自立できません。「手すり1本」でその人の自立をうながすことができるのが、福祉住環境整備なのです。

和式便器を洋式に変えるという工事がありますが、業者によってかなり見積もりに差がでます。それはトイレのリニューアル工事ととらえる業者があるからなのでしょうか。和式だと排泄ができない、しにくいから洋式に変えて欲しいという要望を、都合よく解釈してしまっているケースが多いのではないでしょうか。また、単なる御用聞きであってもいけません。お施主さんの要望だから、ハイハイと聞いておけば、いざとなっても責任はあちらにあるのだから、と逃げ道となってしまっています。しかし、現状では高齢者が情報を持っている例というのは、非常に少ないわけです。「ここに手すりをつけてくれ」といわれても「それは何のために必要なのですか」という視点を持つべきだと思います。そういう視点で聞き取りを行えば、それでは家具で対応できますとか、手すりを取り付けるにしても、それでは少し太めのほうがいいですねというような提案ができます。



介護保険がスタートした当初、建築業界が不況だったこともあって、多くの業者がこの分野へ参入してきました。しかし、それは仕事がないからやってみようという考えが多く、本当にこの分野でやっていきたい、と考えていた方は少数だったのではないでしょうか。面倒で儲からないという話を耳にしますが、住宅改修はリニューアル工事ではなく、全く建築の分野でも別の仕事という認識がないからです。そして整備後のアフターメンテナンス等を考えれば、この分野に関わったうえは、継続してやっていただく必要があるのです。 古くなったら住宅を建て替えればよいという時代ではもはやありません。住宅メーカーも耐久性を競いはじめています。そうすると高齢者になったときを見越しての住宅設計、という視点も当然必要になってきます。福祉住環境整備という考え方は、改修にとどまらず、新築時でも求められる時代なのです。 (特別講演要約)

活動事例発表

「認知症高齢者の生活支援と気ばらし療法(DT)の役割」




事例発表1「会社を設立するまでの経緯」
勝田由美子氏 (有)ワイズウィール代表取締役

大学で建築を専攻してから、青山環境デザイン研究所で福祉住環境について学びました。そこで学んだ福祉用具についての知識が、今生きています。住宅改修の仕事始めは所沢でしたが、地域密着の必要性を感じ、会社を設立。現在は地元練馬で介護ショップを営業、福祉用具の購入・レンタルと住宅改修をしています。その人が生活していくのにふさわしい福祉用具を提供しながら、併せて住宅改修を行う、という両輪がうまく噛み合ってこそ、お客様が快適な生活を送ることができると思い、仕事に取り組んでいます。


事例発表2「住宅メーカー営業マンからの転身」
鶴岡 健氏:医療法人清山会グループ 有限会社ATネット 営業企画部

ハウスメーカー在職中に、社内で医療福祉施設の建設事業推進プロジェクトが発足され志願し、そのメンバーの一員となりました。営業活動をする中で、ひとりの医師との出会いが私の人生をその後大きく変えることになりました。 それが現在、私の勤務する仙台市にある医療法人の理事長です。 利用者個々の満足を追求するその経営理念と実践に感銘を受け、縁あって未知の業界でしたが転職を決心しました。高齢でも障害があっても自己実現ができる施設の運営、住環境づくりに関わっていきたいと思っています。


事例発表3「在宅介護と住宅改修の現場から」
関 典子氏:世田谷区保健センター総合福祉センター

大学病院の整形外科に看護師として勤務していました。あるときリハビリ科で見た作業療法士(OT)の仕事に興味を覚え、OTの資格を取りました。住宅改修への関心はOTの仕事をしているときに芽生えたものです。介護保険下の住宅改修はOTの立場から見ると、移動するための改修が中心になっているように思えるのですが、移動はあくまでも手段であり、その目的も忘れずに住環境整備をすることが大切だと思います。


事例発表4「新天地での住宅改修・福祉用具事業の立上げ」
畠山正広氏:高住研キヨタ(株) 横浜店

7年くらい前の事ですが、ハウスメーカーに現場監督として従事していたその当時は、障害者・高齢者の住環境に関する資料がほとんどなく、手探りで苦労しながら対応していました。のちに、福祉住環境コーディネーターの勉強をしていくうちに介護の世界に興味を持ちホームヘルパーの資格を取得後、建築から介護の世界へ飛び込み。今はその介護の経験を生かし福祉住環境整備の事業に従事しています。
一般的に理学療法士は本人の身体状況だけを考えていきますが、福祉住環境コーディネーターは、本人だけでなく一緒に住む家族全体を踏まえてコーディネーとしていく事が必要だと私は思っています。そして、いかに潜在ニーズを引き出す事ができるかが、存在が大きいのですが、福祉住環境コーディネーターは何をコーディネートするのかというと、本人と住まい、本人と配偶者、本人と家族ではないかと私は思っています。それといかに潜在ニーズを引き出す事が出来るかが重要だと感じています。


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